ドライバーをしていると炎天下のなかで
作業をしないといけない場面がでてきます。
僕も昔は暑い荷台で手積み手下ろし(ちゃぶり)をしていました。
サウナの中で激しい運動をするようなものです。
僕は熱中症になりませんでしたが、
仕事仲間で「筋肉がつる」人はいました。
近年地球温暖化のせいなのか5月ごろには、
夏日(30℃)をこえる日もでてきました。
最近の夏は危険だワン!
夏本番の7~9月は一体どうなるのだろうと
心配しているドライバーさんも多いと思います。
ドライバーが暑い日に熱中症リスクがさらに上がる要因がこちら
- トラックの車内でアイドリングストップ状態で待機
- 荷台での荷物の積みおろし作業
- 一人での作業
この3つの状況を解説して
対処法をお伝えしていこうと思います。
着荷主さんと発荷主さんの協力も必要になってきます。
ドライバーさんがなぜ熱中症になりやすいかを知って頂き、
現場での労災を起きない仕組みづくりの助けになれば、
幸いです。
アイドリングストップ。
夏の炎天下のなか、工場や倉庫の敷地内で、
エンジンをきって待たされる場合があります。
アイドリングストップしないといけない理由はこちら
- エンジンの騒音がうるさい
- 排気ガスによる空気汚染
- 危険品、燃焼物の取り扱い工場や倉庫の為
3つの項目をほりさげると
①②例えば冷凍品を運んでいるトラックは、
温度を維持するために発電機をエンジンをまわして動かしています。
当然エンジンはうるさいですし、排気ガスもでます。
ですが、温度維持のため冷凍品を扱うところでは基本エンジンはきりません。
でも常温品はエンジンきらないといけないところがほとんどです。
なので①②に関してはドライバーからすると、
冷凍品は良くて、常温品はエンジンきらないといけないって
ドライバーが熱中症にかかるリスクを
軽くみてない?って思ってしまいます。
③に関してもタンクローリーで
危険品取扱い工場、倉庫に液体品を輸送するときに
ポンプの動力にPTOを使って荷下ろしする場合があります。
PTOは簡単にいうとトラックのエンジンの動力を使ってポンプをまわして
そのポンプで液体状の荷物を工場にある大きなタンクに補充するものです。
厳格な工場だと荷下ろしの際は、PTOを使うのでエンジンつけたままですが、
待機のときは、エンジン切ってくださいという「謎」ルールがあります。
意味のないアイドリングするのはよくありませんが、
ドライバーの立場からすると、
熱中症予防で必要ならばアイドリングOKにしてほしいです。
(休憩所を設置されている工場や倉庫は除きます)
アイドリングストップ時の熱中症対策
車内待機の場合
- クーラーボックスに冷たい飲み物やおしぼりをしのばせておく。
- ハンディファンの使用
- 空調服の使用
順番まちでトラックから離れられない状況の時は上記が役に立ちます。
他にはパーキングクーラーがあれば、
エンジンを切ってもドライバーさんは快適に過ごせます。
パーキングクーラーって何?
エンジンをきってもバッテリーだけで作動するクーラーです。
燃料代のコトを考え、助成金も使えばパーキングクーラー設置は
オススメです。(ただピンキリで、10~30万前後とお金がかかります)
あと直射日光がキャビンの社内温度をあげるので、
カーテンなどの光をさえぎるものがあると良いです。
ドライバー休憩所がある場合
大手の工場や倉庫に多いですが、ドライバーの休憩所が
用意されています。
トラックのキャビンの中はエンジンをきってクーラーがない場合は、
車内は50度くらいにはなります。
ズバリ休憩所を使わせてもらいましょう。
トラックを離れる際は、現場の方に一言つたえてから、
休憩所に行くのが良いと思います。
電話番号伝えておくといいかも。
受付で電話番号きいてくれるところもあるよね。
長時間待機させる場合は休憩所の設置を
トラックが指定時間に到着したのに長時間待機。
でも待機場所ではアイドリングストップしないといけない場合は、
休憩所を設置して、そこで休憩させてと思います。
休憩所を設置して頂いている企業さんもたくさんあるので、
全ての工場や倉庫に休憩所が設置されるコトを願っています。
労働災害をなくしましょう
バンボディートラック(箱車タイプ)の荷台での積みおろし
荷台の暑さは?
バンタイプ(箱車)のトラックの荷台は夏は40℃以上にはなります。
熱がこもるともっと温度は高くなります。
ほとんどの箱車荷台の材質がアルミを使っているので、
直射日光の熱を吸収して温度は外気温より高くなります。
手積み手下ろし作業による身体の負担
夏の荷台での手積み手下ろしは、
サウナのなかで、激しい運動をしているようなものです。
スポーツジムなら自分の限界がきたらやめるコトができますが、
手積み手下ろし作業は荷物がなくならない限りやめるコトができません。
長時間になることも多く、10トンの大型トラックの荷台いっぱいに
荷物を積むと3時間を超える作業もあります。
途中でこまめな水分補給を
暑い荷台で手積み手下ろし作業を続ければ、
体温があがっていき熱中症リスクは非常に高くなります。
荷台作業時の熱中症対策
対策としては大きく2つあります。
- 冷やす
- 水分補給
冷やすという点でできるコトは、
空調服の使用。冷たい飲み物の補給(凍らしておいた飲み物、魔法瓶の水筒)
水分補給はできれば、スポーツドリンクが良いとされています。
汗には水分意外の成分も含まれているので、
お茶や水よりスポーツドリンク推しです。
アクエリアス、ポカリ、DAKARAなどがオススメです。
塩分もできれば補給(塩アメや塩タブレット)して、
水分が過度に体外に排出されないよう努めましょう。
暑い中での一人作業は危険
何が危険かといいますと、
熱中症で倒れた時に発見されない可能性があります。
対策としては?
- 体調が悪くなったら、近くの人に知らせておく
- 見通しのいいところで作業する
- スマホでアラームを設定しておく
3つの項目を解説していくと、
体調が少し変だなと思ったら、
近くにいる人にしんどそうな顔で「熱中症で倒れるかも」といっておけば、
声をかけられた人は気にかけてくれます。
普段からの顔見知りじゃなきゃ声かけづらいよー
バンボディー(箱車)だと死角で中が見えづらいので、
倒れた時に気づいてもらえません。
ウィングをあけるコトが可能ならあける。
死角を作らないように片付けながら作業するコトが大切です。
30分毎くらいにアラームを設定しておけば、
もし作業中に倒れてアラームがとまらなければ、
探してもらえる可能性は高くなります。
そもそも熱中症とは?
厚生労働省の熱中症に関する資料を基に
解説していきます。
熱中症の症状
軽度の症状から重度の症状まであります。
作業前に上図の症状確認をして、
作業中に症状が現れたら、休憩しましょう。
作業が終わった後から筋肉がつる
めまいがすることもあるので、
休憩してから運転しよう。
熱中症の応急処置
意識がない場合は
119番通報してから
上図にそって涼しい場所に移動させることが必要です。
脱衣させて、冷水を直接身体にかけると効果があります。
意識がある場合
涼しい場所に移動させて、身体を冷やします。
脱衣させて、冷水を直接身体にかけると効果があります。
氷の入ったスポーツドリンクを飲ませて、
塩分も補給させましょう。
詳しい内容は厚生労働省の資料ご参照ください↓
運送業の熱中症被害
2017年~2021年運送業で熱中症の死傷者数
(熱中症で身体に害をわずらった人、または亡くなった人)
559人
熱中症で亡くなった方
7人
引用:厚生労働省
上記数字は厚生労働省の統計です。
報告されていない軽傷者などを含めると
もっとたくさんの数にのぼると推測されます。
まとめ
地球温暖化が進み、5月ごろには夏日になる日がでてきました。
屋外作業や冷房のない空間にいるコトで熱中症リスクが、
どんどん高まっています。
ではどうしたら熱中症をなくせるか?
大きく2つ
- 管理監督者の方の現場状況の把握と改善
- 熱中症の知識
①はお金がかかるので、現実的に難しいかもしれません。
具体的には、休憩所をつくる。
トラックにパーキングクーラーを設置する。
②は熱中症になる前の予防や周りの理解だと思います。
簡単にいうと熱中症にならないための知識が必要です。
お金はめちゃくちゃかからないので、取り組みやすいと思います。
(従業員が多いところはいい金額になるかもですが…)
具体的には、水分や塩分の補給。空調服の使用。
熱中症の軽傷段階での対応。
熱中症疑いの作業者は休憩をする。
発着荷主は熱中症疑いの作業者のコトを理解し、休ませてあげる。
などです。
運送業界全体で「自分の現場から熱中症をださない」
という風潮ができればと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。