物流業者にとって災害級の大雨、台風になると、
普段の業務以外にもいろんな問題がでてきますよね?
例えば
- ドライバー、従業員の安全確保
- 交通網のマヒによる遅延
- 配送中止の判断
- 荷物の浸水
- トラックの浸水
以上の問題が出てくる可能性があります。
1日、2日程度でも大雨や台風で会社の売り上げや資産、お客様の荷物にダメージが及びます。
1番大事なのは、
従業員(仕事仲間)の命だと思います。
ドライバーは運行状況の報告はできますが、
最終的に運行判断をくだすのは会社です。
会社の判断が適切でない場合は、
お客様や従業員の信頼は失われます。
逆に適切な処置をすれば、
会社の評価はあがります。
国土交通省が定める基準などと照らし合わせながら、
本記事で僕なりの解決策を提案させて頂こうと思います。
読みすすめて頂いて、新しい発見があれば幸いです。
ふだんの備え
普段からの備えは大切です。
有事のときは忙しくて、できるコトは限られます。
日ごろから準備しておくべきコトをまとめました。
防災
従業員の命や安全を守るためにも
大雨や台風で浸水しやすい土地なのかを確認しましょう。
こちらで浸水シミュレーションができます。
トラックや荷物を守るためにも
車庫や倉庫は少し高い位置に建てるのがオススメです。
大雨や台風時には被害を受けない場所に
荷物やトラックなどをまえもって移動させましょう。
運送契約書、運送約款の見直し
運送契約書をふだんから作っておきましょう。
口頭だけの契約は、「いった、いわない」などのトラブルを抱える可能性があります。
書面を残しておくコトでトラブルを避けましょう。
参考https://www.mlit.go.jp/common/001069195.pdf
約款の見直しをしておきましょう。免責項目について確認しておく。
荷主と災害時配送について、
大雨や台風時が来る前に約款にそって話し合いをしておきましょう。
事前に話しておくコトで、荷主の理解を得やすいです。
保険の確認
荷物の保険や車両の保険の補償内容を確認しましょう。
また車両が動かなくなったときの代替輸送業者さんも
日ごろから探しておきましょう。
大雨や台風時の災害まえの行動
情報収集
国土交通省がの防災ポータルというサイトがあります。
なかでも「交通・物流情報」のページは
道路情報や災害情報を知るのに役立ちます。
https://www.mlit.go.jp/river/bousai/olympic/helpful04/index.html
大雨で給油所に燃料が届かないコトが考えられますので、
燃料は満タンにするように指示しておきましょう。
荷主とのコミュニケーション
運行できないほど雨が降ったり、台風が近づいてきた場合、
前日にはニュースなどで気象情報が大きく報道されています。
配送前日に運行の可否を荷主と決めておく。
例えばこちら
- 道路が冠水した場合運行不可
- 主要道路が通行止めの際は運行不可
- 風速20m/s以上は運行不可
などです。
ここで理不尽な要望をされるようであれば、
運送契約書や運送約款に沿って、荷主の理解を得る努力をしましょう。
大雨や台風時の行動
運行の可否
無理に大雨や台風時に運行をしてしまい、
- ドライバーの身の安全
- 荷物の破損
- トラックの破損
これらの被害をだしてしまうと会社の未来に損失がでます。
保険をかけているとはいえ、長期に渡って運行できない状況になるかもしれません。
未来の損失と目の前の売上げとをしっかり見定めましょう。
ドライバーの安全を
最優先にお願いします。
現場の情報収集
ここでいう現場は、運行中の経路とします。
会社はドライバーの安否確認をしましょう。
またドライバーの方は無理をせずに、状況を会社に報告しましょう。
自分から「待機させてください」などの提案をしても大丈夫だと思います。
今の自分の状況がどれだけ危ないかを上司に伝えれば、
無理に運行させるようなコトはしません。(たぶん)
大雨や台風時には短時間で局面が変わります。
僕自身の経験をお伝えします。
台風時にルート配送していましたが、
本当に雨風がきついときは、頑丈な建物の中に入って、
会社に連絡を入れて、
2時間くらい待機していました。
今出ていくと「死ぬかも」と本能で察知。
雨風がおさまったタイミングで車庫に帰りました。
運送会社の車は、当時僕が働いていたところ以外は、
食料品を扱うあのお店のトラックと2社しかいませんでした。
運行経路の情報収集
近年の傾向では、災害が予想される場合、
早めに高速道路を主として危険が予想される道路が、
通行止めになります。
通行止めになると交通状況がマヒし、まったく車が動きません。
ただ燃料代が垂れ流しになるだけです。
トラックを運行に出すだけムダじゃない?
積下ろし先の情報収集
積下ろしさきがあいてないってコトもあります。
事前に荷物の積下ろしができるか?
連絡して聞きましょう。
臨時休業しているのに
運送会社に連絡がこないコトもあります。
(実際の僕の経験談。)
また積下ろしさきの従業員の方が、
出勤できずに積下ろしができない場合があるので、気を付けましょう。
せっかく苦労して客先に行ったのに
荷物下ろせないコトがあるよ。
暴風時は特に箱車(ドライバン、アルミバン)は横転に気を付けて
風が強い時に荷台が箱型のトラック車両は危険です。
横転する可能性があるからです。
軽バンでも10t大型車でも
大きい小さい関係なく箱型の車両は気をつけましょう。
もしどうしても走行しなければならないときは、
実車(荷物を積んで)で走行しましょう。
荷物をおもりかわりにして走行するのがオススメです。
風の強さに負けない重量のおもりが必要です。
従業員を守る、荷物を守る、資産(トラックなど)を守る。
災害時は、「運行をしない」という決断もしなければいけません。
会社や運行管理者の方は判断むずかしいと思います。
お客様とのつきあいがあるのも分かりますが、
間違った判断をして運行させた結果、
- 従業員
- 荷物
- トラックなど
これらを失ったとき後悔します。従業員の命は特に大切です。
安全安心を優先した決断をしてほしいです。
無理な輸送の強要には荷主勧告制度を
貨物自動車運送業法附則第1条の2に規定する
違反原因行為に該当しうる荷主の行為の例として
「輸送の安全確保義務違反を招く恐れのある異常気象時など、
安全な運行の確保が困難な状況で運行を強要するような行為」
も示しています。
引用:全日本トラック協会
くわしくはこちら
後処理
人員確保
できるだけ人員を確保しておきましょう。
大雨や台風が過ぎ去ったあとは配送量が増えるコトが予測されます。
伝票処理や欠品への対応もあります。
倉庫や車庫の後片付けもあります。
いろんな業務が増えるコトが予測されますので、
いつもより人員を増やしておくのが、オススメです。
トラック故障時の荷物の調整
大雨や台風でトラックが冠水、横転などで走行不能になった場合、
会社や配車係の方は荷物の調整を考えることになります。
(実際にはレッカー手配などやるコトはたくさんありますが…)
もし予備車があればいいのですが、
あそんでるトラックがないようだと荷物調整をして、
動くトラックで昼夜配送。
協力会社に輸送を発注することも考えましょう。
いろんな調整がでてくるので、
配車係含めて事務方の作業が多くて大変ですよね。
まとめ
僕は気象警報が発令している時点で、
運行しないほうがいいと考えています。
そうでないと何の為の警報か分かりません。
警報が出たら、学校は休みになります。
でも大人は会社に行くのがふつうです。
日本人は真面目なので、どんな状況でも会社に行くのが当たり前です。
「命をかけて出勤するコト」が美談になっていいのかな?と思います。
「警報がでたら会社休み」などの明確な基準を行政にだしてもらえれば
なんて思ったりします。
上図の「輸送の目安」も抽象的なので、
例えば「輸送を中止してください。」と言い切ってほしいと思います。
とはいえ天気予報が100パーセント当たる保証もないので、
抽象的な要素をあえて含ませているかもしれません。
でも現場で作業している人が一番被害を被るので、
そういう方々の安全の為にも明確でわかりやすい基準を設けてほしいです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。