運送業界で何かと悪者にされがちな「荷主」だが、
本当に荷主が悪いんでしょうか?
本記事では荷主さんの行動を身近な出来事におきかえると
別に悪いことしてなくない?
というコトを下記の3つをひもといて、伝えていこうと思います。
- 買いたたき
- 待機問題
- 手積み手下ろし作業のパレット化
荷主さんっていわば運送会社にとって「お客さん」ですよね?
もちろん下請けイジメしているところもありますが、
それはもはや「荷主」ではなく「クレーマー」です。
例えば、トラックに過積載を強要されるのはアウトだと思います。
ですが、普通に取引きしているのに
荷主=悪のレッテルを張られるのも荷主さんにとっては
どうかなと思います。
本記事では、荷主の行動を例えなどまじえながら、
説明していきます。
運賃買いたたき
![かいたたき](https://santanahuntoukiwow.com/wp-content/uploads/2023/06/かいたたき.jpg)
皆さんは買い物のときに値下げ交渉しませんか?
例えば車を購入するときに、値下げをお願いしませんか?
僕の知り合いでこんな人がいました。
ト〇タネッツ、ト〇タカローラ、ト〇ぺットから
ハ〇エースの相見積もりとって、
交渉して破格の値段でハ〇エースを購入してました。
「もう勘弁してください」とお店の人にいわれたそうです。
僕もパソコンとか高価な買い物をするときは、
値切っていました。
値切り武勇伝を聞くと「スゴーい」となりますが、
運賃に限っては、値切るコトはあまりよくないようです。
ディーラーが車を納品した後に、
契約書にはない「カーナビをつけて」とか、
「かっこいいホイール」にしてとかいうのはマナー違反ですよね。
これはクレーマーです。
運送業も契約にはない仕事、
例えば、
積込みが終わって出発したにもかかわらず、
「戻って追加の荷物つんでほしい」
といわれた場合、
追加で運賃を支払うのが当たり前ですが、
追加運賃なしの口約束みたいな感じです。
運送業の場合、1回限りの関係ではないところが難しいところです。
もちろん追加料金を払わずに運ばせるのは、
法律に抵触するおそれがあります。
待機問題
![大型トラックの納品先、引取先。](https://santanahuntoukiwow.com/wp-content/uploads/2023/01/納品先トラック.jpg)
倉庫やバースなどでの待機が問題となっています。
待機時間の問題は責任の所在が難しいです。
荷主責任
荷役作業こみの契約で運賃をもらっている運送会社
倉庫やバースといわれる荷役作業をする場所は
スペースが限られています。
数台又は1台のトラックしか荷役作業(積下ろし)はできません。
荷主側が荷役作業(積下ろし)をする契約であれば、
荷待ちは発着荷主の責任となり、
荷主が待機時間分の料金を払う必要があると思います。
ですが、荷役作業(積下ろし)を
運送会社側(ドライバーや助手)がする契約であれば、
次に待っているトラックの待機料金は誰が支払うべきでしょう?
(現状のほとんどが待機料金は支払われず、うやむやになっています。)
手積み作業で荷主側と運送会社側と
共同で作業する場合があります。(手積み下ろし作業もあります)
流れは以下のとおりです。
(tiktok動画の説明:フォークリフトの操作はしてもらって、手作業で荷物を積込んでます。)
荷主側の人間がパレットに載っている荷物を
フォークリフトでトラックの荷台まで運ぶ。
パレットの荷物をトラックに積んでいく作業は
運送会社側の人間(ドライバーなど)がおこなう。
手作業なので、かなりの時間を要する作業になることもあります。
この場合も作業に時間がかかって、あとのトラックが待機している場合
荷主がすべて悪いのでしょうか?
僕は物流システムの構造上の問題だと思います。
手積み手下ろし作業のパレット化
手積み手下ろし作業のデメリットはこちら
作業時間がかかる
作業者の体力的な負担
トラックへ積込む作業時間は、
手積み手下ろし作業と荷物をパレットごとフォークリフトで、
積下ろし作業をする場合と、
4~6倍違ってきます。
下記目安です。
手積み手下ろし | パレット20枚 | |
---|---|---|
作業時間目安 (大型10tトラック) | 約3時間 (荷物によって変わる) | 30~40分程度 |
荷物や条件によって上記時間はかわりますので、
あくまで僕の体験や他の業者を観察していた経験から
時間算出しております。ご了承ください。
パレットだとすごく作業が速いです。
体力的な問題ですが、
手積み手下ろし作業だと荷物の重さや大きさ、
かたち、持ちにくさにもよりますが、
腕の筋肉はパンパンになります。
腰回りや首、肩にも相当な負担がかかります。
初心者だと2、3日はいろんなところが筋肉痛になるかもです。
使う筋肉は違いますが、マラソンみたいなものです。
初心者だと42,195キロ歩くだけでも足が痛くなります。
手積み手下ろし作業は体力の消耗がすごいです。
一方フォークリフトは、機械の力で積込みをするので身体への負担はほとんどありません。
フォークリフトを自由自在に扱うには少し時間がかかりますが、
慣れると問題なくスムーズに扱えます。
なぜパレット化しないのか?
理由は2つあります
- パレットを積んでいる分、荷物を積みたい
- パレットの所在を把握して管理しないといけない
![パレット](https://santanahuntoukiwow.com/wp-content/uploads/2023/06/パレット.jpg)
パレット化しない1つ目の理由
パレットの高さって14~15㎝のあいだ位ですが、
その分を荷物を積んでほしい荷主側の要望や
運送会社側の要望があります。
どういうことかといいますと、例えば
荷物を積み上げていく過程であと5㎝隙間があれば、
荷物を積める状況があります。
パレットがないコトで多くの荷物が積めます。
「じゃあ、パレットの高さが邪魔だから手積み手下ろしにしよう!」
となります。
そこには、運賃がからんでくるので作業者(多くはドライバー)は、
手積み手下ろしをする状況になります。
パレット化しない2つ目の理由
パレットは誰が用意するのか?
パレットは誰のものか?
運ばれたパレットはちゃんと返却されるのか?
誰がパレットを管理するのか?
パレットを返却する場合荷物をのせるスペースが少なくなる。
上の問いに答えていくと
荷物を用意するのに発荷主がパレットを用意します。
荷物を運ぶときに運送会社を経由して着荷主に荷物ごと
パレットが運ばれます。
なので着荷主からパレットを回収し発荷主に返却する工程がでてきます。
手積み手下ろしだとパレットを返却しなくてもいいので、
パレットを返却したり管理、保管したりする手間がなくなります。
![](https://santanahuntoukiwow.com/wp-content/uploads/2023/05/熱中症対策アイキャッチ-500x262.jpg)
まとめ
物流の構造上というか、自由な経済活動をするうえで、
荷主が立場が強くなるのは仕方がないことかなと思います。
荷主は、お金を払ってサービスを提供される側=お客様だからです。
だからといって、何をしても許されるわけではありません。
いきすぎた行為には下請法などで罰せられます。
罰則は勧告や企業名が公表されるなどがあります。
企業側からするとダメージはそんなにないと思います。
たとえば、小売業(スーパーマーケット)と運送業を比較してみると
一般の人がモノを買いにスーパーに行きますが、
いろんなスーパーがあり、サービスがあります。
安売りがモットーのスーパー
食材は高いけどいいモノだけを取り扱うスーパー
業務用の品を一般の客に売るスーパー
でも運送会社のサービスって安さぐらいしか
競合他社と差別化できないコトが多いです。
丁寧
安全
時間通り
これらは当たり前と思われています。
よってスーパーマーケットのように
多種多様なサービスを提供するのが難しいです。
![運送事業者数](https://santanahuntoukiwow.com/wp-content/uploads/2023/06/運送事業者数-800x400.jpg)
運送会社の数が約5万8000(霊柩車事業除く)あるので、
選ぶ権利が現状だと荷主側にあります。
需要と供給のバランスで、供給側が多いのでバランスが崩れている状態です。
ではこの構造を変えるにはどうするか?
答えは現状かえれません。
運送会社の参入障壁の基準をあげて運送会社の数を減らせば、
需要と供給のバランスの偏りを是正可能ですが、
トラック10両以下の零細運送会社が3万社ちかくにのぼります。
この3万社ちかい会社をどこかに吸収、合併させたりするのは、
現実難しいです。
あと合併すると会社の所有権はどこがもつのか?
すんなりとコトが進むとは思えません。
よって荷主=悪者ではなく、
物流の構造上お客様(荷主)が無理な要望をしてきても
契約切られるのがイヤなら、従わないといけない構造ができあがっています。
もし運送会社やドライバー主体の物流構造が出来上がるとすれば、
運送会社
ドライバー従事者
を減らして、需要と供給のバランスがとれれば、
荷主と運送会社の立場は対等になるかなと思います。
何年先か分かりませんが、
その頃にはトラックの自動運転が実用化しているかもしれません。
最後まで読んで頂きありがとうございます。